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トップ > 日記・時事・業界 > 著作権のお話 その6 著作権法とアイデア、当ブログのスタンス
2015/09/20 Sun 23:50 ブログ | ブログ | 日記・時事・業界

●著作権シリーズ最終回

長いこと続けてきました著作権シリーズも、今回が最終回です。 アイデアの話から始まり、BGM使用許諾の話や肖像権や私有地での撮影マナーなど。 もちろん全部を網羅したなどと自画自賛するつもりは毛頭ございません。 また「このトピックについて書きたい」と思ったら書かせてもらおうと思っています。 なお、今回も「著作権法」と言いますと、日本の著作権法を指すということで進めてまいります。 著作権法 今回も問いかけから始めます。 この写真は紛れも無く私が撮ったもので、著作権は私にあります。 新宿京王プラザホテルのレストラン街紹介のパネルを撮りました。 正面から撮る構図、モノクロで撮るスタイルは現場で咄嗟に浮かんだものです。 さて、今後この場所で私同様の撮り方をする方がいた場合、その方に私は「パクリだ!」と文句を言えるでしょうか。 写真の善し悪しは別として、正解・私の見解はCMの後! EM102845 (CMのつもり) (CMのつもり)

●著作権法はアイデアを守らない

冒頭の写真について。要素で分解していきますと、 「京王プラザホテルのレストラン案内パネル」「正面から撮った構図」「モノクロ」ですよね。 それらの組み合わせは現場での私自身の判断によるものです。 そういう現場判断・咄嗟の構築が撮影の醍醐味なのだ、と私は思っていますがそれは別の話。 上の写真について私は著作権を持っていますがそれはあくまでもこの「EM102845.jpg」という画像についてのものであって、 他の方が同じ趣旨で撮った写真が存在したとして、そちらについて私は著作権を主張することはできません。

・同じ場所で似通った写真を撮っても著作権法には違反しない

著作権法によって守られるのは「著作物とその著作者、そこに発生する著作権」です。 ですので基本的に「同じ場所で同じものを撮り、別の写真とした」場合は著作権法に触れません。 例えば富士山や鉄道写真。 私は富士山写真に詳しくありませんが、「定番の撮影地があり、そこで如何に美しく撮るか」みたいな作品作りなのだとか。 鉄道写真もそうらしいですね。撮影スポットは決まっていて、そこで撮ることに意義があるとかないとか。知らんけど。 良く言えば競争ポイントが明確、悪く言えば画一的とも思えますがここで言いたいことはそういうことではなく、 富士山にせよ鉄道にせよ、パッと見で同じ写真に見えるぐらい似ていても、お互い著作権侵害を主張することはありませんよね。 仕事で「レンタルスタジオで女性撮影」というものに色々な形で携わっていますが、その場合も同じだなと思いました。 ポートレートもまたネタが出尽くしていますから、同じスタジオで撮ったらよほどの独自性が無い限り、写真は似てきます。 しかしそのことをもって「後からそのスタジオを利用して撮った写真が著作権侵害している」とはなりません。 そんなこと言い出したら、レンタルスタジオなんて商売は成り立ちませんものね。 ポートレートの醍醐味は、その上でモデルをいかに撮るかというノウハウ、ですので。単なる技術論だけではないですよね。 そういったあたりは富士山や鉄道にも言えるのかもしれません。撮影場所は一要素に過ぎない、ということです。

・「廃墟写真事件」

写真家丸田祥三氏が写真家小林伸一郎氏を訴えた裁判、ご存じの方も多いことと思います。 写真界隈に相当なトピックを提供したものですから「廃墟写真事件」で検索しますといっぱい記事が出てきます。 この訴訟は、「写真におけるパクリとは何ぞや」という問いかけをもたらしました。 結果は「原告丸田祥三氏敗訴、被告小林伸一郎氏勝訴」で確定しています。 ここでは判例データベースへのリンクを貼っておきます。 裁判の訴状って面白いですよね、訴えの内容を分解していって個別に「争うか、争わないか」を選択していくという。 長くて言葉の使い回しも難しいですが、不謹慎かもしれませんが抜群に面白いので。 一審の判決 控訴審の判決

 裁判の論点

丸田祥三氏が撮って写真集にもおさめた廃墟に、あとから小林伸一郎氏が行って撮り、写真集に収めた、という時系列になります。 丸田氏の主張によると 「廃墟写真というジャンルは被写体選定が最大のポイントである」 「しかも構図も似通っている(実際は構図的には左右反転だったりしますが)」 というわけで、複製権(著作物をコピーする権利)や翻案権(著作物を改変利用する権利)を侵害している、 と、ざっくり申しますとそんな感じです。 結論から申しますと、それらの訴えは全て裁判所で否定され、丸田祥三氏は裁判に負けてしまいました。 小林伸一郎氏の主張である 「廃墟は風景であるからどのように撮ろうが自由である」 「被写体は写真撮影の一要素であり廃墟写真もその点では同じである」 というあたりがすべて認められた形ですが、最大のポイントは 「構図決めはアイデアに過ぎず、著作権法の保護対象外である」 という点であろうかと思います。 「著作権法はアイデアを守らない」 もっと言いますと、著作権法はアイデアの発露であるオリジナリティを守らない。 上で富士山・鉄道写真・スタジオ撮影の例を出しましたが、それと同様ということですね。 これは「複製権・翻案権の侵害」という裁判ですから、結果だけを聞きますと至極真っ当なところに落ち着いたように思えます。 私の感想としては「丸田祥三氏敗訴は妥当」です。小林氏が本当はパクっていたとしても関係ありません。 この訴えが通ってしまうと、今後一切富士山も鉄道もスタジオ撮影も出版できなくなってしまいますので。

 プロの矜持

プロが撮った既存写真に類似したものを、後発でプロが撮って出版しても、著作権法には触れない。 裁判になりますと「法律的にどうなのよ」という話ですから、まあそうなりますよね。 しかし、私個人的には何となく腑に落ちない部分もあります。 小林伸一郎氏はその仕事を、プロとして他人に誇れるのか?という部分です。 確かに法律的には問題ない、と私も思いました。 私は丸田祥三氏・小林伸一郎氏に特別に詳しいわけではありませんから真相は分かりませんが、 どうも色々調べていくと、パクリを疑われても仕方がないなと感じました。 丸田祥三氏の言い様ではありませんが、廃墟の写真はやはり「物件ありき」の要素が強いように思います。 雰囲気のある廃墟なんて数に限りがあるのですから、どこかで「ネタが被る」のは仕方がない。 ですが、写真集にして世に問うなら、独自の切り口を見せてくれてもいいのでは、と思いました。 それこそがプロ写真家の矜持であろう、と。 もっとも、私は丸田祥三氏の「棄景」も小林伸一郎氏の「廃墟遊戯」も見ていません。 それらから「類似した写真」を抜き出して比較した、という意図の解説しか読んでいませんので、 他の部分、写真集の全体的な印象では大きく異なるものなのかもしれません。 ですから私の「小林伸一郎氏にはプロ写真家のプライドはあるのか」という感想はお門違いという可能性はじゅうぶんあります。 その点は差し引いておかないとね。

 オリジナリティとアイデア

ではパクられた側(便宜上)の丸田祥三氏は、どうすればよかったのでしょうか。 苦労して開拓した廃墟、そこで撮った写真をあっさり真似された…のだとしたらその心中お察しします。訴えたくもなりますね。 しかしそもそもその土地も廃墟もいずれ誰かが到達する場所だったはずです。実際旧丸山変電所は今は観光地だそうですし。 丸田祥三氏がオリジナリティを主張できる期間は限られていた、その点は自明であります。 この著作権シリーズのパイロット版として「オリジナリティとアイデア」というタイトルの記事を掲載しました。 写真におけるオリジナリティ(独創性)の出し方には、どのようなものが考えられるか。 そこで私は(とある本をパクりながら)2つの手法を引き合いに出しました。 ひとつめの手法は「その被写体を撮る最初の人間になる」でした。 ただしこの手法には弱点があって、「すぐに後続者が出るから、賞味期限が短い」という点にも触れました。 この廃墟写真事件において、丸田祥三氏は(少なくとも商業的に)その廃墟を撮った最初の人間になった、と。 しかしすぐに他の写真家がそこに到達し(小林伸一郎氏は「パクっていない」と言っているのでここではそれを信じます)、 オリジナリティが生きる状況が短期間で失われてしまいました。 ふたつめの手法「複数の要素を組み合わせる、ここでは『廃墟 + 何か』という写真」を活用する手もありますね。 その場合は「打ち捨てられた廃墟を主役にする」ことはできませんから撮影趣旨が変わってしまいますが。 ただ、オリジナリティを少しでも長く維持したい、という目的に沿うならば、そういう手法も取りうるということです。 実際丸田祥三氏は「廃墟・廃線跡 + 少女」という写真で知られています。知人女性もモデルになっていまして。 これはプロであればなかなか真似できませんよね。明らかにパクリということになりますから(笑

●当ブログの著作権に関わる考え方

最後になりますが、当ブログの内容に関する著作権周りの考え方を書きます。 ブログをやっている他の皆様とは「同じだ」という部分と「そこは違うな」という部分が混在しているものと思います。 当ブログで掲載している写真が素材利用されているのを時々見かけます。お問い合わせをいただくことも増えてきましたね。 基本的には「光栄です、もっとやって+.(´∀`*)。・:*:」という立場ですが、 その上で、幾つかの制約もありますので、それを書き出していこうということで。 まあ所詮はネット辺境の過疎ブログ、写真が利用される頻度は低いのですが、機会がゼロではないですので、 次項で挙げていきます。

・素材利用は大歓迎、その上でガイドライン

写真のウェブサイト等への転載について  「人が写っていないもの、もしくは写っていても風景の一部となっているもの」…素材利用していただいて大丈夫です。  「人が写っていて、かつ、顔も識別できるもの」…肖像権でトラブルになる可能性があるため転載禁止とします。 動画のウェブサイト等への転載について  …一律に転載禁止とします。 写真の商用利用について  …例えばキューポッシュ写真が例として考えられますが、頒布目的の許諾は取っていませんので一律禁止とします。 写真転載時の私への許諾・クレジット表記・改変について  …転載する方の良心に委ねます。媒体との兼ね合いで最善と思われる対応をお願いします。 写真転載時の金銭のやり取りについて  …発生しません。   「利用料」などと言って私がいただくこともありませんし、   「掲載料」などと言って私がお支払いすることもありません。

・ネタの使い回しもアリですわね

当ブログは「写真と文章でコンテンツを作っていく」スタイルです。 ですので記事本文についてもガイドラインを用意しました。 記事テーマの応用・転用について   どのブログにも少なからず独自性があり、それぞれに特徴ある記事を掲載しています。その点では当ブログも同様です。   記事のテーマは上で書いたとおり「アイデアに著作権はない」との立場ですので、私が何かを申すつもりはございません。   例えば私が丸の内のクリスマスイルミネーションの記事を書いたとして、他人にそれをさせないという権利はありませんし(笑 記事本文の転載について   文章をそのまま、もしくは部分的に改変して利用にするのは禁止とします。

・著作権は放棄しません

転載についてはご自由にどうぞ、ただし私以外の肖像権や財産権を侵害するような利用法はお断りします、 ということですがその上で、写真の著作者は私である点は変わらず、著作権も私が持ち続けます。 非営利で転載する場合に限り掲載する権利を開放しますよ、というスタンスは、 例えば「孤独のグルメオリジナル・サウンドトラック」に類似しています。 私が持っている諸権利につきましては放棄しない、ということです。 なお、著作者の権限として「元画像はお渡ししない」という姿勢でおります。当ブログに掲載されているものをお持ちください。 世間的にどんなにダメ写真であっても私はそれぞれに愛着なり思い入れを持っておりますので、 たまたま当ブログに「世間に評価される写真」があったとして、私以外の方がそれを転載の上「自分が撮った」と主張したとき、 その方と揉めることになったとしても、私が勝つためです。

・肖像権侵害には速やかに対応いたします

当ブログに掲載されている写真や動画に肖像権を侵害されている、と思われた方は、 メールフォームまたは非表示コメントでご一報ください。適切に対応いたします。 ただし、ご本人様からのお申し付けに限らせていただきます。

●今回はこの辺で。

最後に余談ですが、ブログやSNSに掲載されている写真には「クレジット表記」が入っている場合が多いです。 このクレジット表記、どういう目的があるのでしょう。 以下の目的で入れられている、という認識が一般的です。 第一に「著作権者を明示するため」ですよね。誰が撮ったか、を見る側に示すためのものです。宣伝にもなるかもしれません。 第二に「無断転載を防ぐため」ですよね。クレジット表記が入っていますと、素材利用しづらいですからね。 第三に「デザイン上の理由」ですよね。ロゴ等に凝って「作り上げていく」という感覚ですね。 クレジット表記がない=著作権放棄されたフリー素材、というわけではありません。 以前の記事で書きましたように「無方式主義」により、写真は撮られた時から届出アピール一切不要で自動的に著作権が発生します。 ですので単純に「この写真は誰かに著作権がありますよ」というアピールとしては、実は意味がないものなのであります。 ただ、パクリ転載が横行している現在のネット状況を鑑みるに、一定の抑止効果はあると思われます。 なお、私は当ブログの写真にクレジット表記を入れていませんが、「面倒」というのが理由です(笑) リサイズのみ撮って出し、というのもコンセプトのひとつですので、あまりいじくり回したくない、ということですね。 というあたりを締めのネタにさせていただきまして、著作権シリーズいったん終了でございます。 次回は違うことを書きます。 また是非お立ち寄りください。よろしくお願いします。 m(_ _)m
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