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トップ > 日記・時事・業界 > 著作権のお話 その5 施設管理権とマナー
2015/09/16 Wed 23:50 ブログ | ブログ | 日記・時事・業界

●今回は「他人のものを『撮』ったらどうなるか」

相変わらずアクセスだだ下がりの著作権シリーズ、これがまだ続いてしまうのです。 どうしよう、振り上げた拳の下ろしどころを模索している感じかな?(笑 準備号「オリジナリティとアイデア」で、独創性や発想の持ち方について引用紹介いたしました。 第一回「著作物と著作者」で、そもそも著作物・著作者って何よ、ということを書きました。 第二回「著作権と著作者人格権」で、著作権って耳にするけど具体的には何なのか、ということを書きました。 第三回「許諾の必要性」で、著作物、特にBGMの利用にまつわる現状を書きました。 第四回「肖像権と表現の自由」で、他人を撮るという行為について触れました。 というわけでさて皆様、今回も冒頭は問いかけから入りますね。 この写真は横浜ルミネのハンバーガーレストランで撮らせてもらいました。 正真正銘私が撮りました。人間が写っていませんから、肖像権は発生しません。 ただし、ハンバーガーを作ったのはコックさんですし、この写真を撮る時店員さんに許可も求めませんでした。 さてこの写真は、撮っても良いものだったのでしょうか、ダメなものだったのでしょうか? 正解、ではなく、今回は私の見解、CMの後で! EM527307 (CMのつもり) (CMのつもり)

●レストランで承諾なく料理を写真に収めるのは犯罪か?

当ブログでも時々採り上げる撮影テーマとして「レストランでの食事の際の写真」があります。 外食での撮影ですから、周囲に別の利用客もいるでしょうし、店員さんもいるでしょう。 人が写り込むと肖像権が云々、という話になります。前回書いたとおりです。 今回採り上げるのは「人が含まれない場合」ということです。肖像権の話はひとまず置いときます。 人が写り込むような撮り方はしていませんよ、と。 今回のテーマは、そういう撮影が法律的にどうなのか、ということです。

・料理は「著作物」か

レストランの料理を撮る、という行為について触れる前に、料理に著作権があるのか?という議論があるようです。 そもそも「料理は著作物なのか」ということなんですけれども、 料理は「思想や感情を創作的に表現したもの」ではない、つまり著作物ではない、というのが一般的な解釈らしいです。 確かに自宅で作った野菜炒めが「思想や感情を創作的に表現したもの」かと問われると、自分でも大いに疑問です(笑 一方で、盛り付けに配慮した料理とか、独特の形状のスイーツなどは著作物として認めてもいいのでは?とか思いますよね。 そちらもやはり実際には著作物として扱われることは無いっぽいです(全部を調べたわけではないですが)。 むしろ商標権とか特許とかナンチャラ製法とか、そういう別の法律で保護されることが多いようです。 この記事では「料理は著作物ではない(=著作権は発生しない)」とします。 ですので、料理の写真を撮る事は、著作権侵害にはならない、という前提で進めてまいります。

・自分たちのテーブル上の料理を撮ること

フードポルノ、という言葉がありますよね。 「うちの店の料理を撮ってなにしようってんだ?どこかに載せるのか?」って、あれです。 お店側からしたら「シャッター音が店の雰囲気を壊す」「盛り付けが他店に盗まれる」「何となく気分が悪い」などなど、 事情は色々あると思います。 お店が「料理の写真を撮る」ことをさせたくない場合、どのようなロジックをとることができるか。 「著作権」では無理、ということを上で書きました。料理ですから「肖像権」もありません。 では「所有権」はどうでしょう。レストランで提供される料理の所有権はレストランのものだ、と。 レストランの料理の所有権はどこにあるか。イチイチそんなことに言及する法律があるわけもなく(笑 ここでも必然的にいろんな法律の合わせ技で解釈していくことになるのですが、 私は法律に疎いですので、こういう場合の判断はまったくチンプンカンプンです。 今回は法律相談やら弁護士ドットコムみたいなサイトを、目を皿のようにして見てみました。そしたら意外にも判断が割れてます(笑) 私は「客に所有権があるのが当然」だと思いましたが「レストランに所有権がある」という意見もある。 仮にレストランに所有権がある場合、出される料理は食べてはいけないのではないか、とか、 仮に客に所有権がある場合、バイキングの料理を全部タッパーに詰めて持ち帰るのだってOKだろ、とか、 面白いんですけど、わけが分かりません(笑 ですので、所有権についてはここではお手上げ、放棄します。

・施設管理権という別ルート

レストラン側からしたら、料理の撮影をさせないための理由付け、 客側からしたら、料理の撮影をさせてもらえない理由付け、 そんなものがあるかというと、私としてはもう、これしか思い浮かびません。 施設管理権というのは、その施設の管理者(ここではレストランの従業員)が持つ権限で、 施設を運営したり、備品設備を設置したり、施設の治安維持などについて、権限があるそうです。 要するに「その施設の持ち主(雇われ管理者も含めて)が好きにしていい、ということで、 民法188条:占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。 民法206条:所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。 がその根拠となるそうです。財産権ですね。 郷に入らば郷に従え、施設の持ち主には好きにする権利がありますから、従わなくてはなりませんよ、というわけです。 ただこれには「法令の制限内において」という条件がついてきます。 オーナーシェフがスマホ撮影を気に入らないからといって「スマホで料理を撮ったら死刑」とかいうルールはナシですよ、ということです。 お店やレストランで「撮影禁止」とある場合は「人は写っていないから」とか「金を払ったんだから好きに撮らせろ」とかはアウト、と。 ここまでは民法で罰則も無く、違反しても逮捕→犯罪者、とはなりません。損害賠償請求はあるかもしれませんが。 ですが、調子に乗るのはよした方がいいです。 ゴネ方の度が過ぎる場合、お店側には「出て行け」という権限もあります。 お店側から退出を促されて、それでも出て行かない場合は「不退去罪」という罪になってしまいます。 刑法130条(抜粋):要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。 こうなると犯罪の一歩手前です。 撮影禁止のお店で写真を撮った ↓ お店の人が「禁止です、やめてください」と言ってきた(施設管理権に基づく要求) ↓ 「そんなケチくさいこと言うなよ」と開き直った(施設所有者の財産権を侵害) ↓ お店の人が「もう出て行ってください」と言ってきた(施設管理権に基づく要求) ↓ 「うるせーよハゲ」と無視した(不退去罪の成立) ↓ おまわりさん登場 ↓ (゚д゚)ウマー 不退去罪は「滞在する正当な理由がある場合は適用されない」ようですが、この場合どうでしょう。 「事前に『撮影禁止と知らされていなかった』だから継続してサービスを受ける権利がある」みたいなことは主張できるのかな? お店側は、本気で店内で撮影をされたくない時には、よく見える場所に「撮影禁止」と明記しておくと後々有利なのかもしれません。 これでお店まるごと、もちろん料理も含めて、撮影できないことになりますし。

・施設管理権に配慮しながら撮影する方法とは

施設の所有者に気を使うのは当然として、撮影をするにはどういう姿勢で臨むのが良いのでしょうか。 取材や業務用撮影でなく、「個人で楽しむ範囲」での撮影を念頭に置いて考えてみます。 まず思い浮かぶのが「直接口頭でお願いし、許可を取る」ということです。王道の対処ですね。コミュニケーション最強。 業務撮影では当然に許可を得ることになりますが、個人的な撮影でもその考え方を踏襲しようということです。 しかしそれも状況によりけりです。 人手不足の中で忙しそうに動き回っている従業員をわざわざ呼び止めて「撮影させてね」ってのは微妙ですよね。 店員さんからしたら「忙しいんだからそんなことイチイチ聞いてくるなよめんどくせぇ~な」、みたいな、「空気読めよ」と。 また、「面と向かって聞かれたらダメって言うしかないに決まってるじゃないか」という事もあります。 私は今の仕事に携わった初期の頃、撮影場所を探して近隣のラブホテルに「撮影で利用してもいいか」と問い合わせまくったことがあります。 その時の回答は軒並み「ダメ」、たまに親切な方が応対してくれて、 「そういうの、聞かずにやった方がいいですよ、どのみち部屋の中での事には干渉できないんですから」とアドバイスをくれたり。 まあ私がアホだったんですけど(笑)今は慣れまして、万事そういう藪蛇なことはしなくなりました。 つまり、黙認状況が雰囲気的に明白な場合は、敢えて聞かずにさりげなく撮らせてもらう、というのも選択肢、なのです! 問題は「黙認状況が雰囲気的に明白な場合とはどんな場合か」なんですけど、そこはもう人間力で見極めるしかありません。 そこを読みきれないなら、やはり「口頭で許可をとる」というのが最善でしょうね。そこから生まれる人間関係もありますし。 合わせて大切なのはその後の振る舞い、撮らせてもらう時の態度かと思います。 許可をもらって撮らせてもらうにせよ、空気を読んで自主的に撮らせてもらうにせよ、デカイ態度でバシャバシャやるのではなく、 周囲に気を使い、そっとさりげなく撮らせてもらう、みたいな。 まるで盗撮だな!という話ですが、逆に「俺はオーナーから許可もらってんだ」とばかりにデカイ顔して撮るのもダメですもんね。 結論としては「どういう形であれ、周囲に迷惑かけずに上手く立ち回るべし」というところかと思います。 DSC02576

●ヨドバシカメラの「英断」

施設管理権と言えばここからは余談になりますが、 この記事を書いている途中、ネットでこんな記事を見ました。 ヨドバシ・ドット・コム ヨドバシカメラ全店で 無料インターネット接続Wi-Fiスポット「ヨドバシ フリーWi-Fi」サービスを開始します http://www.yodobashi.com/ec/support/news/150915351917/index.html ふたつの大きなサービス開始をアナウンスするもので、 ひとつ目は記事タイトルにもある通り「店内無料Wi-Fi開始」です。従来はFREESPOTがありましたが利用可能場所は限定的でした。 そちらは今回は置きます。注目点はふたつ目の内容で、 ヨドバシカメラ店内ではスマートフォンを自由にご使用頂けます。 店舗内でのディスプレイ・商品・イベント等の撮影およびSNS、ブログ等への投稿、 他社との価格比較や商品情報の確認、ユーザーレビューの閲覧など商品の比較・検討にお使いください。 ショッピングアプリ「ヨドバシ」なら店舗ごとの価格や 在庫状況、取り寄せに必要な時間まで表示されます。 (記事からの引用) というものでした。 私個人的には、このサービス開始は画期的であり、ヨドバシカメラの「英断」だと思っています。 以下に感想を書きます。 (CMのつもり) (間違えた、こっち)

・従来「店内撮影禁止」だった理由

みんな大好きヨドバシカメラ、皆さんもよくご存知だと思いますが、従来は「撮影禁止」でした。 店内の各所で「カメラマークにバッテン印」を見かけたものです。 が、その規制が取っ払われました。 従来は何故撮影禁止だったのでしょう。私は業界人ではないから分かりませんが、 「他の客が写り込んでトラブルの原因になることを防ぐ」 「同業者の偵察を防ぐ」 「ポスター(に載っている芸能人)が写ることによる肖像権侵害の可能性を防ぐ」 というのを思い付きました。 大手企業ですから危ない橋は渡りたくない、一律禁止がいちばん楽、だったのだろうとは思います。

・「店内撮影解禁」に踏み切った理由

上で(私が勝手に想像した)禁止理由は、それなりに正当性のあるものですし、 施設管理権の考え方からしても、外野がとやかく言う筋合いのものではありませんでした。 が、それが一転して「写真撮影OK」となった。どういう事情があるのでしょうね。これも部外者の身として想像してみます。 「同業他社より『ルールがゆるい』という印象を持たせ、集客につながる」 「店内の写真がSNSで拡散することにより、宣伝になる」 「商品バーコードの読み込みは従来も許可していたが写真撮影との(見かけ上の)線引きが曖昧だったので、この際全部OKにした」 「偵察やショールーミングのリスクや影響が低いと判断した」 「ヨドバシ・ドット・コムを使わせて在庫確認を客自身に行わせることにより、従業員の負担を減らす」 …色々思い付きますが、一言でまとめると「デメリットよりメリットのほうが大きいと判断した」ということなのでしょう。 店内撮影解禁の前提としましては、最後に挙げた「ヨドバシ・ドット・コムとの連携強化方針」が後押ししたように見えます。 従来ならば、店内で商品を撮影をされることによって(他店と比較される等の事情で)取りこぼしていたものを、 今後はある程度防ぐことが出来るだろう、という見通しが立ったのか、 あるいはヨドバシカメラのお店を「ヨドバシ・ドット・コムのショールーム化」しようということなのか。 いずれにせよ実店舗を持たないアマゾンには出来ないアプローチです。 私も注目しつつ、活用させていただこうと思っています。 EM102879

●今回はこの辺で。

またダラダラ長くなってしまいました。 次回も著作権のお話です。たぶん最終回です。 またぜひお立ち寄りください。よろしくお願いします。 m(_ _)m
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