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トップ > 日記・時事・業界 > 著作権のお話 その1 著作物と著作者
2015/09/09 Wed 23:50 ブログ | ブログ | 日記・時事・業界

●今回は著作権の話

唐突ですが皆さん、この写真の著作権は誰にあると思いますか? DSC02931 前回は「アイデア」について書きました。今回は「著作権」についての話です。 このふたつがセットにならないと私の書きたかったことにたどり着かない(笑 本当ならひとつの記事にまとめるべきところなのですがネタは分割して長持ちさせるのが当ブログの鉄の掟でございます。 今回あらためて著作権法を読みまして、読解しきれない部分については複数の解説を頼りました。 私は法律に詳しくありませんので「解釈上の慣例」などにまで話を広げますと事実誤認も発生してきそうです。 ですので、基本的な部分で、 私達「写真を扱う側」が普段どのようなことに留意すべきなのかという実用性を中心に書き進めてまいります。 なるべく分かりやすい文章になるよう努めます。 また、単純化するために今回も話題は「写真」に特化します。 著作権法と一言で言いましても世界各国でちょっとずつ内容に違いがあったりもしますので、 話のベースにしますのは日本の著作権法ということになります。 著作権法(日本)

●用語をなるべく分かりやすく

今回「著作権法」という法律をじっくり読み返しまして思ったのは「なんでこんなに難しい言葉を使うねん」という事であります。 旧仮名使いなどではありませんので読めないわけではないのですが、頻繁に前後の他項目にジャンプするんですね。 ですので小説や論文のようにザッと通して読むことができない、私の弱い頭ではついて行けなくて大変でした。 ウェブ上の法律専門家や知的財産権に詳しい方の解説を読ませていただき、それらを合わせて理解を深めた、という感じです。 以下、誤解を恐れず(恐れろよ)、平たく書こうと思います。

★著作物

著作物とは、世に存在するあらゆるもののうち「人が思想又は感情を創作的に表現したもの(法律ママ)」の事です。 ですので、写真を含む芸術作品一般はすべて該当します。 ただし、事件や事象、報道に関わる部分については著作物とはみなされない可能性があるようです。 具体的には、火事の様子を撮った写真などは著作物ではない、ということになりますね。 ただし、その火事の写真を「今の私の心情をあらわすものとして構図を工夫して創作的に表現した」などと強弁できなくもないですよね。 ですから「著作物か著作物でないか(=著作権が発生するか、しないか)」という境界線は曖昧だというわけです。 著作権法に違反しないよう振る舞うためには、全ての写真に対して「著作物である」と構えておくほうが、無難でしょうね。

・例として、Twitterに投稿された事件写真の扱い

上の例から話を広げます。 「火事の様子を撮影した写真」は事件写真であり、「思想又は感情を創作的に表現したものではない」つまり「著作物」ではない、 ということになりますから著作権も発生しない、と思えます。 が、ちょっと書きましたように「この火事写真は私の感情を創作的に表現したものである」と言い切ってしまうことは可能で、 ですからやはり私たちは「著作物だと思って扱う」方が無難ですね。 例えば。 このツイートは私が撮った「上野東京ライン開通初日の品川駅9・10番(常磐線列車用)ホームの風景」を載せたものです。 この写真は単にその日の世相をあらわすだけのものでしかありませんが、このシーンを撮ろうという判断は私の感情に基づくものでして、 故にこの写真は「思想又は感情を創作的に表現したもの」すなわち著作物であり、著作権が発生します。 じゃあ世の中の写真は何でも著作物じゃんよ、他所で掲載するときにはイチイチ許可を得なけりゃイカんのか!? …その通りです。ですからマスコミなんかもTwitterで「使わせてくれぇ」とイチイチ確認するわけです。 立場が逆になっても然りでありまして、私達がマスコミの写真を利用する場合にも許可を得なくてはいけません。 法の下、公平平等お互い様、ということになります。

★著作者と著作権者

この2つは似たような言葉ですし、私自身も今までゴッチャにして使ってきましたが、良い機会なのでまとめてみます。 著作者とはいわゆる「作者」、著作権者とは「作者ではないかもしれないけれども著作権を持っている人」です。 著作者とは、その写真を撮った人物のことです。当たり前ですね(笑 日本では著作権は写真が出来上がった瞬間から写真(著作物)に対して発生します。 自分が撮ったんだから当たり前じゃないか、と思えますよね。 が、世界にはそうではない国もあるのです。 アメリカでは「私がこの写真を撮りました」と、著作者であることを登録しなくてはなりません。「著作権庁」というお役所があるほどです。 別に全部登録しなくていいけど著作権侵害の裁判をしたければこの「著作権登録」が必須ですよ、というわけです。 アメリカ(他にはイギリス等)の「登録が必要な仕組み」を、方式主義と言いまして、 日本のような「登録不要で自動的に著作権が発生するという考え方」を、無方式主義と言います。 この辺りの話は「ベルヌ条約」で検索してみてください。 今回は日本の著作権法をベースに話を進めます。 「著作者」とは、その写真を撮った人のことだ、と書きました。 では「著作権者」とは何か。 上で書いたように日本は「無方式主義(撮った瞬間から著作権が発生する)」ですので、最初から著作物・著作者・著作権が確定しています。 が、著作権の一部分については「他人に譲渡」もしくは「最初から他人が持ってる」ということが可能です。 そういった「著作者ではないけれども、著作権を持っている人」を「著作権者」と呼んで、区別しています。

・例として、ユニクロ「UTme!」における著作権の扱い

ユニクロに、スマホアプリでTシャツデザインを行い、そのまま発注するというシステムがあります。 UTme!(http://utme.uniqlo.com/) ユーザーが自分でデザインを「創作」して発注、それをユニクロがTシャツに印刷するというわけですが、 サービス開始直後の2014年春には、利用規約にまつわり話題になり、いや、炎上しました。 「投稿デザインの著作権はユニクロに譲渡」という趣旨の一節があったのです。 ユニクロのTシャツって、皆さんご存知だと思いますが、品物が良いじゃないですか。 他のファストファッションのTシャツが何年も使っているとボロボロになる中で、ユニクロだけ平気、不思議なぐらいです。 ですからその品質で自分デザインのTシャツを作れる!となると、特にクリエーター系の方々を刺激したはずなのです。 しかしこの「デザインの著作権はユニクロに譲渡」の一文で批判殺到、後に「デザイン著作権はユーザー本人のもの」と改められました。 UTme!利用規約(著作権絡みは9条、関連部分はその第3項) ユニクロの肩を持つわけではありませんが、 大企業ほど「何かをする時、それに関わる権利は自社で押さえておきたい」でしょうから、悪意もなく条文を作ったのでしょうね。 個人的には「クリエーターからデザインを搾取して売る」ことまでは考えていなかったんじゃないかな、と思ったのですが。 まあそのユニクロの方はともかく、私がここで書きたかったのは「著作権は譲渡できるんだよ」ということです。 著作者と著作権者は、別々になる可能性がある。 UTme!の場合、デザインの著作者はユーザー、著作権者については「サービス開始当初はユニクロ、現在はユーザー」 ということが言えるわけです。

・例として、サルの自撮り

昨年夏、一部で話題になったこの写真、覚えている方もいらっしゃると思います。 この写真のタイトルは「自撮り(Selfie)」、すなわち、サルがカメラを手にとって自分でシャッターを押したものです。 「この写真の著作権は、誰にあるのか?」という点で、論争が巻き起こりました。

Macaca nigra self-portrait large.jpg
"Macaca nigra self-portrait large" by Self-portrait by the depicted Macaca nigra female. See article. - Wtop.com (archive; cropped and denoised by uploader). Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

アメリカの写真家がインドネシア滞在中に撮ったものだそうです。正確には「サルに撮らせた」と言うべきか。 ウィキメディア・コモンズという「利用はご自由に」というサイトに掲載され(上の写真も、そこから引用掲載したものです)、 写真家がその削除を求めて裁判を起こした、という経緯です。 何せ「自撮り」ですからシャッターを押したのはサル、結局アメリカの著作権庁は写真家には著作権を認めませんでした。 しかもダメ押しで「サルが撮った写真にも、ゾウが描いた絵にも、著作権庁は登録しない(=著作権は認めない)」と一文を追加したほどです。 アメリカの例はよろしい。もしこれが日本での話だったらどうでしょう。 シャッターを押したのがサルですからサルが著作者…とは、ならないようです。 著作権法第二条で著作者について「著作物を創作する者をいう。」と定義されています。 ではサルが「著作物を創作する者」ではないのか? 日本の法律は権利能力を持つのは「人間のみ」とされていて、それを「者」と呼んでいます。 サルは「著作物を創作する『者』」ではない、すなわち、著作権はサルには発生しない、と。ここまでは法律に疎い私の頭でも理解できます。 では、著作者は誰なのか。 仮に「本来著作者たり得る立場にいるはずの存在が人ではなくサルであるから、著作者は存在しない」ということになりますと、 極めてレアケースながら「パブリックドメイン(著作権が無い創作物、例えば青空文庫)」という扱いになるのでしょうか。 それともアメリカの写真家が主張したように「サルが自撮りする状況を作り上げた自分に著作権がある」のでしょうか。 アメリカでは前者という判断がされましたが、撮り手のはしくれたる私としては後者を支持したいところです。 少なくとも「著作者ではないかもしれないが、著作権者としては認めてもいいのでは」と思うのですがいかがでしょうか。 ただ余談になりますが、著作権の話は置いておくと、この手のアイデアはすぐに廃れる、とは思いますけどね。 この「サルの自撮り」が話題になった&惹きつける魅力があるのは、このサルが魅力的な被写体だったからですから。 個人的には前回の記事を踏まえて申しますと「こんな写真見たことない」の殿堂入りではあるでしょうね。

●今回はこの辺で。

今回も長くなりました。申し訳ありません。 著作権の話をしているのに、著作物・著作者の話で終わってしまった! というわけで次回、肝心の「著作権」について触れることにいたします。 なお、冒頭の東京駅の写真の著作権は当然、撮影者たる私にありますので(笑 決して施設を保有するJR東日本でもなく、設計した辰野金吾でもなく、施工した鹿島建設でもない、ということです。 私がサルでなくて良かったよ(笑 またぜひお立ち寄りください。よろしくお願いします。 m(_ _)m
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