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トップ > マイクロフォーサーズ > オリンパス「OM-D E-M5 markII」その4 動画後編「ビットレートとALL-Intra」

●今回のテーマは「高画質」

みんなー!動画のじっかんっだよー! にっさんみゅーじっくぎゃらりー!ぽっぷたいかようきょく! とぅるとぅーとぅ、とぅっとぅっとぅるっとぅー! それはともかくE-M5 markII関連エントリです。 まさかの初期不良にげきオコスティックファイナリアリティぷんぷんドリームの私でございましたがそれも落ち着きました。 今は3ランクほど下がりまして激おこぷんぷん丸程度であります。可愛いものです。 しつこいな、と思われるでしょうが、これ以上被害者を出したくないということで。 それはともかく今回は「画質」についてです。 なお、今回の記事内容は読み物として掲載するわけですから読者の方に向けた書き方をしますけれども、 解説というより私自身の考えをまとめるために書いているようなものですので、上から目線で教えてやる的な意図ではありません。 あらかじめその点だけ差っ引いてご覧くださいませ。

・今回扱う「高画質の定義」

皆様は「動画の画質が良い(高画質)」と聞いた時、どのような映像を想像されますか。 ピントが合った部分がクッキリ解像し、ボケとのメリハリが実現している動画でしょうか。なるほど、それは高画質ですね。 高感度ノイズが目立たずサラリとした動画でしょうか。なるほど、それも高画質ですね。 解像度が高くて精細に表現される動画でしょうか。なるほど、それも高画質ですね。 ブロックノイズ(モザイクタイル的なもの)などで荒れたりしない動画でしょうか。なるほど、それも高画質ですね。 要は「見る人にとって綺麗に見えていれば、画質が良い(高画質)」なのであります。 が、ここで挙げた例え話の「高画質」は、少しずつジャンルが違うことにお気づきの方もおらるかもしれません。 言ってみますと、 「ピントが合った部分がクッキリ解像~」というのは、レンズの性能やピント合わせの技術によるものですよね。 「高感度ノイズが目立たない~」というのは、センサーの性能とノイズリダクション能力によるものですよね。 「解像度が高くて精細~」というのは、カメラが撮影できる大きさの違いによるものですよね。 「ブロックノイズなどで荒れない~」というのは、データ量の多さによるものですよね。 色々な要因が絡み合って、私達視聴者が思うところの「画質いいなあ(高画質だなあ)」という感想に結びついています。 今回はそれらのうち、最後の「データ量の多さによって決まる高画質」という部分に特化して話を進めてまいります。 映像では一般に「高画質」と言う場合、この「データ量が大きいこと」を指します。 ほら、写真でも言いますよね「『高画素』と『高画質』は違う」みたいな話。あれと似たようなものです。

●ビットレートとは何か

高画質とはデータ量が大きいことを指す、と上で書きました。が、これだけでは説明不足です。 例えば、同じシーン・同じサイズなら「1分間の動画」より「1時間の動画」の方がデータ量が大きい。これは当たり前ですよね。 でも、「1分間の動画が50メガバイト」で、「1時間の動画が100メガバイト」だった場合、どちらがより「高画質」か。 普通に考えれば1分間の動画の方が高画質です。 単純なファイルサイズではなく、時間という要素がありますから、 時間単位あたりのデータ量の大きさ、という動画ならではの指標があるのです。 それを用語で「ビットレート」といいます。 ビットレートの単位は「bps ビットパーセカンド」1秒あたりのビット数、という意味です。 どう書けばいいかな、動画を生成するために1秒あたりどれだけのデータを生成するか、と書くのが分かりやすいかな? まあ、「1秒間の映像がどれだけのデータ量で作られているか」と解釈して差し支えありません。 当然ながら、1秒間あたりのデータ量が大きい=ビットレートが高いほど、画質は良くなります。 言い換えますと、画質を良くしようと思ったら、ビットレート=1秒間あたりのデータ量を大きくすればいいことになります。 ならば綺麗な動画を作ろうと思ったら無制限にビットレートを上げればよいではないか、ということになりますよね。 しかしこれがなかなかそうも行かないのです。 SDカードの容量にも、カメラが処理できる能力にも、再生するパソコンやスマホの能力にも、限界があります。 現実の処理としては「高画質」と「扱いやすさ」で、ベストバランスを探ってビットレートを定めることが大切になってくるわけです。 写真と同じですよね。ブログなどウェブ上に掲載する写真も「高画質」と「データ量」のバランスをとりますから。 また、上記の事情を踏まえて「ファイルフォーマットとしてビットレートの上限を決めている」という例もあります。 avchdは上限約28Mbps、DVDビデオは約10Mbpsでしたっけ、うろ覚えですがそんな感じにガイドラインが決められ、 再生する機械はそのビットレートを処理(再生)できるように規格化されている、というわけです。 そんなわけでカメラの側でも「だいたいこれぐらいのビットレートを上限にして処理しますね」という動画作成処理上のルールを設けています。 カメラのスペック表に書かれている「ビットレート」というのは、「このビットレートを上限として動画ファイルを作成しますよ」という意味です。 余談ながらビットレートは動画のフレームのサイズによっても左右されるものでして、 例えば4K(3840px * 2080px)はフルハイビジョン(1920px * 1080px)よりも多くのデータが必要になりますから、 同じ画質で作成しようと思った場合、フルHDよりも4Kの方がビットレートが高くなります。 この話を前提として、次に移ります。

●All-IntraとIPB

・All Intraって何よ

さて、今回のOM-D E-M5 markIIには、オリンパスのマイクロフォーサーズ機として初めて「All-I」と呼ばれる方式が導入されました。 メーカー公式サイトの仕様に、このように記載されています。 alli この「ALL-I」もしくは「A-I」というのは「All-Intra」の略、読み方は「オールイントラ」ですけれども、 秒間30であれ60であれ、それらのコマがそれぞれ1枚の完成画像で出来ており、 それらの画像をパラパラアニメのように見せる、という方式なのであります。 「1枚の完成画像で出来ているコマ」を「イントラフレーム」と言いまして、「全てのコマがイントラフレームだからオールイントラ」 というわけです。 これが「プロ向けの仕様」だと言われておりまして、コンシューマー機では実はあまり搭載されていません。 キヤノンの上位機種や、マイクロフォーサーズで言いますとパナソニックでもGH・GX等の上位機種に限られておりまして、 例えば我が家のパナソニックGM1には採用されておりません。 また、業務用映像機器トップメーカー・ソニーのαに採用されていない事はメーカーの考え方の相違という意味で興味深いものがあります。 いずれにせよ「全てのコマが完成画像(イントラフレーム)で出来ているから、オールイントラ」 これがオリンパスOM-D E-M5 markIIの高画質を象徴する大きな要素となっております。 (今回はMotion JPEGの話は置いときます)

・IPBって何よ

All-Intraは、完成した1枚絵をいっぱい重ねてパラパラアニメにして見せる方式である。 この説明をご覧になり、「ん?動画ってコマをパラパラ動かして見せるんだから、完成画像で出来ているのは当たり前だろ?」 と思われた方もいらっしゃるかもしれません。 実は従来のOM-Dシリーズにおいて、そうではありませんでした。いや、そうなんですけどちょっと仕組みが違いました。 動画とはコマとコマの間が1/30秒とか、1/60秒という世界ですから、実は「連続するふたつのコマ」に、大きな違いはありません。 ですから、ひとつめのコマが完成画像だったら、次のコマは「そこからほんの僅か、何がどう変わったか」だけをデータとして持っていればいい。 そうすれば、データの節約になりますよね。かなりの。 「完成画像ばかり何十枚も何百枚も何千枚も収める」より、「ひとつ隣のコマから変化した部分」だけ収める方が、効率がいいのです。 前者が「All-Intra」、後者が「IPB」と言いまして、つまり動画のデータ圧縮方式において対になる用語なのであります。 コンシューマ向けカメラの圧縮方式としては、現在IPBが主流と言って良いと思います。 ipb 「IPB」は「Iフレーム・Pフレーム・Bフレーム」の頭文字を取ったものです。IBPと表記することもあるようですが意味は同じです。 Iフレームは上で書きました通り「完成された画像・イントラフレーム」 Pフレーム・Bフレームは「差分データだけを収めた、1枚絵として見た時には出来損ないの画像」です。 細かい特徴は省きますが、Iフレームを第1コマ目とし、そこにP・Bフレームがぶら下がるような関係で、コマがグループ化されています。 これをGOP(Group Of Picture)と言います。これも動画性能の解説ページに登場する用語です。 だいたい15コマぐらいずつグループになっているそうですね。 記号で書くと、「IPBBPBBPBBPBBPB」で1GOP、みたいな。 All-Intraは「IIIIIIIIIIIIIII」と続くのです。1コマずつが単独でGOPを構成する、というわけですね。 第1コマ目のIフレーム(完成画像)を皮切りに「ちょっと変わった!ちょっと変わった!ちょっと変わった!」とパラパラアニメしまして、 そろそろ破綻しそうだなというタイミングで次のIフレームが登場!そこからまたちょっと変わった!ちょっと変わった!次のIフレームまで頑張る! と、 その繰り返しというのがIPB圧縮のしくみなのでした。

・All Intraが高画質?

さて、mpeg4の圧縮方式、「All-Intra」と「IPB」について書いてきました。 All-Intraは完成した1枚絵ばかりで出来た動画本来の構造、パラパラアニメ。 IPBは完成した1枚絵から始まり「ちょっと変わった、ちょっと変わった」でデータ節約。 では、私達人間がそれを見た場合、どちらが高画質なのでしょうか。 見比べてみましょう。 All-Intra 撮って出し IPB 撮って出し いかがでしょうか、どちらが高画質でしたか? すみません、正直私には分かりません。同じに見えます(笑

・なぜAll-Intraは高ビットレートなのか

上の表でご覧いただける通り、All-Intraの最大ビットレートは約77Mbps、IPBの最大ビットレートは約52Mbpsとあります。 この数字を単純に解釈しますと「All-Intraの方が、IPBよりも高画質」と読めますよね。 しかし、今回の「高画質とは、画像が荒れない動画である」という前提に照らし合わせますと、ぶっちゃけ一緒です。 とすると、「IPBの52Mbpsで充分綺麗」「All-Intraの77Mbpsって無駄にデータがデカイだけ」ということになりませんでしょうか。 原理で考えますと、今回鳴り物入りで搭載されたAll-Intraが従来からの圧縮方式であるIPBに画質で圧倒できないのも分かる気がします。 All-Intraで画質を上げようと思ったら、全てのコマの画像を綺麗に(つまりデータ量を多く取って)保存しなくてはなりません。 が、IPBで画質を上げようと思ったら、Iフレームだけ綺麗に保存出来ていれば、あとは差分だけですから綺麗汚い関係ない。 一点豪華主義でIフレームにデータ量を割り振ることが出来るIPBの方が高画質、というのは道理と言えば道理です。 理屈を例え話にして、極論をしてみます。 仮に ・All-IntraとIPBで、ビットレートを揃えてみる ・その結果IPBのIフレームは、All-Intraの各フレームに比べて10倍のデータ量を持たせることが出来る という条件で比べるとします。 その時の画質差はどの程度になるか。イメージですからね。 IPBの画質イメージはこんな風です。参考までに500kbの画像です。 500kb All-Intraの画質はこんな風です。参考までに50kbの画像です。 50kb この2つの画像が動き出すとしたら、画質には決定的に差がつきますね。 ですから、All-Intraで記録する場合は、1コマ1コマを綺麗に保管するために、IPBよりもデータ量を持たせなくてはなりません。 つまりビットレートを上げなくてはならない、ということです。 ビットレートの数値で比較しますと、All-IntraはIPBの3倍必要みたいな話を聞きますがその辺は私は詳しくありません。 「All-Intraが高ビットレートで記録!」というのは、 「より高画質が実現する!」ということではなく、「ビットレートを上げないと画質でIPBに太刀打ち出来ない」から、 という理解の方が、ガッテンガッテンなのであります。

●All-Intraの真価

・All-Intra不要論?

そうしますと次に「じゃあIPBで充分じゃんよ、All-Intraって何のために搭載されたんだ!?」という疑問が生まれます。 OM-D E-M5 markIIが目玉機能のひとつとしている割に、何に使うのかサッパリ分かりませんね。 高ビットレートで記録できる、というのは、そうしないと従来の画質を継承できないから、という事情が大きいのです。 データ量も大きくなり、しかもAll-Intra記録の場合は30pまでで、50p・60pでの記録ができません。 だったら何のためにあるんだ、IPBで60p記録で充分ではないか! 実は、その通りなのです。IPBで充分、All-Intraに出番はありません。 誕生日会の記録、運動会の記録、あるいは友達のライブハウスでの演奏の録画など、 コンシューマ向けの日常使いで、All-Intraは不要と断言していいのではないでしょうか。 何だよじゃあAll-Intraなんて意味無いのか、高画質だ…って期待したのに! と、投げ出してしまうのは早い。 All-Intraの出番が無いのはあくまでも「日常使い」の場合において、であります。 やはり搭載されるにはそれなりの目的というか、理由がありますので、それを挙げてみます。

・精細な編集に必要不可欠

公式サイトに「プロレベルの動画編集に対応するALL-Intra形式での撮影も可能です。」という表記があります。 なるほど、プロレベルの動画編集に対応しているのか!だったらAll-Intraにも意味があるな! …しかし、「プロレベルの動画編集」って何だ!? プロレベルの動画編集!連呼しておりますが、ここでは「コマ(フレーム)単位での精緻な編集」のことと致します。 動画といいますと、ホームビデオなんかは撮ったものをそのままHDDレコーダーに保存、タイトルや日付なんかを埋め込んで完了、 ということが一般的だと思います。 が、プロレベルの動画編集というか映像作品の制作ではもっと凝ったことをしておりまして、 撮影した動画データを細切れにして、それを並べ替えたりエフェクト掛けたり、いじりまくるわけです。 その際必要なのが「コマ(フレーム)単位で、動画データを切り出していく」という機能なのです。 All-Intraは全コマが独立した1枚絵ですから、これが容易です。 が、IPBはそうではないのです。 「P・Bフレームは自身が属するGOPのIフレームの存在に依存するため、そこで素材をカットすることができません。 「Iフレームでしか(GOP単位でしか)切り取れない」ため編集点が限定され、All-Intraに比べて使い勝手が悪いのです。 具体的には、テレビ番組やCMなど、秒数までキッチリ制作ルールが定められ、フレーム数まで管理しなくてはならない場合です。 その場合、あと1フレーム切らねば!というようなシビアな制作環境になりますから、フレーム単位で動画素材を加工できなくてはなりません。 また、フレーム単位で場面がどんどん切り替わる、エヴァンゲリオンのオープニング映像みたいな編集にも必要かもしれません。 とにかくマニアックな編集に必要だ、という理解で間違いありません。 逆に言えば、そんなことをしない(私も含めた)大多数の人には、不要な機能ではありますけれども、 今回オリンパスは「OM-D MOVIE」として映像クリエイターにも売り込む気満々ですから、ぜひとも載せたかった、という事なのでしょう。 実は現在は、動画編集ソフトも進化しているからだと思いますが、IPBでもフレーム単位での加工がすんなりできてしまいます。 ほんの数年前の常識がすでに覆されつつあるという、技術の進歩とは恐るべしですね。 ただ、その場合どうしてもAll-Intraに比べて、わずかに画質の劣化が見られるのだそうです。 正直私のレベルでは気付きませんが、映画やテレビの制作の方はそれを見分けるのでしょうね。 プロが求める、プロにしか見分けがつかないクオリティを提供、ですから「プロレベルの動画編集」と。 私も一般公開用の動画編集は散々やっている部類のはずですが、正直申しましてそこまでハードな編集はしませんでした。 今後の経験値上げのために、勉強してみたいところです。

・All-Intraの方が有利な状況

また、これは私の想像で書きますが、All-Intraの方がIPBより適している、という撮影環境があるのではないか、と考えています。 具体的にはこのようなシーンです。動画が用意できなくてすみません。 画面全体に花や葉っぱが細かく広く並んでいて、それらが風でそよそよ動くような映像です。 16963599956_9aa115ae7a_o 秋の紅葉の山間風景とか、竹林を見上げた景色とか、グラビアアイドルが浜辺で飛び跳ねておっぱいばいんばいんとか。 そういう映像は、IPBでは圧縮しきれないでしょうね。「差分を記録」ったって、結局画面全体じゃーん。 それだったらコマごとに完全体の画像を収めるALL-Intraの方が適している、ように思うなあ。 これは検証してみたい!続報をお待ちください(笑

●今回はこの辺で。

長くなってしまいました。執筆にまる2日かかった入魂の記事でございます(笑)ご覧いただきましてありがとうございます。 私の粗知識はここまでです。正直自信がない部分もありますので詳しい解説は他の高度に専門的なサイト様をあたってください。 次回も動画編の予定ですが素材次第、どうなるか分かりません。 またぜひお立ち寄りください。よろしくお願いします。 m(_ _)m
今回の
撮影機材
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