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オリンパスの新製品「PEN-F」について書きます
今回予定を変更してお送りします。写真なしです。

昨日、オリンパスから新型デジタル一眼カメラ「PEN-F」の正式発表がありました。
噂サイトでは以前からリークがあったようですが(Twitterでそんなのが流れてきてた)、
私は噂サイトを見るのをやめたので事前情報皆無、昨日が「ベールを脱いだ日」ということになります。
私は世間の動向というか感想を見る手段としてはほぼ「Twitter」だけに依存しています。
そのタイムライン(つながっている皆さんのコメントが時系列で流れてくるウェブページ)を見ていますと、
概ね「興味ある」「欲しい」といった、好意的なものでした。
OLYMPUS PEN-F | PEN | オリンパス |
発売日
2月26日発売だそうです。
発表が1/27ですから、ちょうど一ヶ月後、ということになります。
この日付は「CP+2016」開催2日目にあたります。
これがCP+において、どんな影響を及ぼすか。
CP+会期後半の頃には「既に店頭に並んでいる製品」となるわけですから、わざわざ会場で並んでまで見る理由が無いですね。
ですから「新製品xxを見ることができるのはCP+だけ!」みたいなレア感は無く、
それゆえにガジェット系の方々がバズ狙いでネタにするために並ぶことは多少は減るのではないかと。
ただ、「いやー良く出来てるとは思うし丸窓が良いんだけどやっぱりファインダーは光学に限るよチミィ」みたいな「語りたいカメラユーザー」、
言い換えれば寂しい人たち(毒を吐き過ぎたか?)が説明員のメーカースタッフの奪い合いをする姿は想像できなくもないですね。
近寄らないのが得策のようです。
外観
良いですね。とても良いです。
私は以前から「見た目、持った時の感覚は、OM-DよりPENの方が良い」と書いてきました。
E-M5markIIの時に「今まででいちばん良い」って書いてたじゃねえかこの嘘つき野郎、とお思いになった方がいるかは分かりませんが、
私は「OM-Dでいちばん良い」という書き方、つまりわざわざ「OM-Dではいちばん」と限定的な言い方をしていますね。
それはもちろん、PENの方が質感が良いからです。
私がそう主張することについては、両方所有している方なら(同意はできないとしても)理解はしていただけるのではないでしょうか。
正直、とても惹かれます。欲しいと思ったことも認めます。
性能
目立ったところで言いますと「2030万画素センサー」でしょうか。
パナソニックGX8に続く、マイクロフォーサーズ機では2機種目の「2000万画素オーバー機」となります。
総画素数2177万画素というてんも共通、ということで、GX8と同じ(つまりパナソニック製の)センサーを搭載しているのでは、
などと邪推も出来ますが、正直私にとってはどっちゃでも良いことです。
1600万画素が2000万画素になったとして、用途が爆発的に広がるわけではないですものね。
ただ、画素数アップは地道な努力の積み重ねなのですから、そこは否定的に見る部分ではありません。
あとは「時代を超えて愛される美しいデザイン」と。
オフィシャルサイトの「製品特長」というページ。
何はさておき「美しいデザイン」が最初に来ています。
カメラは道具、しかも、高価かつ愛着をもって使う道具だから、所有する喜びを刺激するべき。私はそう思います。
ダイヤルが多いですね。前後ダイヤル・モードダイヤルに加えて露出補正ダイヤルと前面に謎のダイヤルまで。
そういうダイヤルの多さからくる「機械を扱っているかのような感覚」を大事にする、というのは理解できますし、嫌ではないですね。
美しいデザイン PEN-F | PEN | オリンパス 時代を超えて愛される美しいデザイン ... |
買おうかどうしようか
正直言って、外観はとても魅力的です。
「これ以上格好いいPENは登場するまい」と個人的に思っていた「E-P5」よりも良さそうに見えます。
が、購入には二の足を踏んでいます。
理由は以下の通りです。
二の足を踏む理由その1:バリアングル液晶。
バリアングル液晶、というのは、可動する背面液晶の一種です。
昨今のデジタルカメラの背面液晶は、本体から離れてグリグリ角度を変えることができる、というものが主流です。
なぜ「本体から離れてグリグリ角度を変えることができる」方が良いのか。
もちろん、人間が姿勢を大きく変えることなく撮影できる状況を作り出すことができるからです。便利なんですよね。
で、その可動液晶には現在、大きくふたつの潮流がありまして。
ひとつは「バリアングル」。
もうひとつは「チルト」。
ざっくり言いますと、そのふたつに大別できます。
バリアングルとは、このような方法で動く液晶のことです。

(パナソニック GX8公式サイトから引用掲載)
長所は、縦位置や自撮りでも使えること。
短所は、使えるようになるまで2ステップの手順が必要だということ。
チルトとは、このような方法で動く液晶のことです。

(ニコン D750公式サイトから引用掲載)
長所は、使えるようになるまで1ステップの手順で済むこと。
短所は、縦位置や自撮り目的では意味を成さないこと。
つまりそれぞれ一長一短、ということになります。
「好きな方を使えばいいんだよ」では記事としてつまらないのでここでは決め打ちしてみます。
「私の用途では(日和ったな;)」バリアングルよりチルトの方が圧倒的に使いやすいです。
バリアングルは動画では意味が無い(私の場合はね)
動画って、一部のデジタルサイネージ以外、つまり世間一般に浸透している映像はほとんどすべて「横長」ですよね。
これは今後も変わらないと思われます。
スマホでの縦位置閲覧に最適化された「縦位置動画専門サイト」というのもありますが、2016年1月時点では傍流の域を出ません。
私もそうですが、「縦位置動画専門サイト」の名前とか、とっさに出てこないでしょ?
C CHANNEL | 女子のための動画ファッションマガジン |
ですから、現時点では動画に限って言いますと、
事実上「縦位置撮影時に有利だという点があるとしても、バリアングルのメリットは生かせない」ことになります。
「嘘つけ、著名なYouTuberはバリアングル機を褒めちぎっとるぞ!」とお思いのあなた。騙されてますよ(笑
YouTuberの方々が「バリアングル液晶」を喜ぶ理由は、「出演中に自分で映像を確認できるから」です。
そんな需要、どれだけあります?あなた、自分をそんなにいっぱい撮るんですか?
動画撮影可能なデジタル一眼カメラが年間何台売れているか。それに比べて、YouTuberがいったい何人いるのか。
もちろん多くのYouTuberの方は「自分たちは『自撮り』しているからバリアングル液晶の方が良いのだ」とフェアに条件つけて言っておられます。
が、私達視聴者側がそれを拡大解釈して「そうか!バリアングルの方がいいのか!」と結論づけるのは、ちょっと急ぎすぎかなと。
もちろん私達一般人の中にも「バリアングルの方がいい」という方もおられるでしょう。それはそれでもちろん文句無いですよ!
「動画に限って言えば」チルト液晶のほうが良い。
私個人の用途としては、そのように結論づけています。
もっと言えば理想は「バリアングルとチルトのハイブリッド」である「ソニーAマウントの三軸チルト液晶」なんですけどね。あれ復活しないかなあ。
大手メーカーの後ろ盾が欲しいから書きますが、ソニーはこれまでのところEマウント機で一貫して「チルト液晶機」ですよね。
エントリーモデルで例外的に「自撮り対応」なんてのもありますが主流ではありません。
ましてやα7シリーズ。
クリエイターに売りたい!というオーラに満ちたα7系にとって自撮りは考慮の外だからなのではないか、と私は思っています。
これだけ書いたのに「次期α7新機種はバリアングル!」とかやられるとツライですけど(笑
私達がカメラを買うのは、まず第一に、何かを、誰かを撮るためです。
私たちは「撮る側」の人間です。自分を撮るのは二の次。自分で自分を撮りたきゃスマホ使っとけと(笑
PEN-Fは「撮る側の人間のために用意されたカメラ」ではないのですか?
バリアングルは2ステップで液晶を広げる、これは致命的
もうひとつ。バリアングル液晶は「2ステップで液晶を広げないと、使えるようにならない」という点が挙げられます。
むしろこっちの方が致命的かも。
2ステップというのは、「液晶を開く→液晶を回す」というプロセスのことです。
チルト液晶は「液晶を引き出す」だけです。引き出す際に角度調整も同時に行いますから、事実上の1ステップです。
さて、PENは(防塵防滴非搭載という仕様も含めて)ネイチャーフォトよりも「ストリートスナップ」を意識したカメラなのは明白です。
私は主戦場がストリートスナップ(の派生系である「街の夜撮り」)ですから言わせてもらいます。チルト液晶の方がいい。
バリアングル液晶というのは、液晶をボディから引き出したまま歩き回るのに、度胸がいります。
横に広げた液晶を、ちょっとどこかに引っ掛けただけで、もげたりへし曲げたりしそうになります。
バリアングル機「E-M5markII」で、液晶脱落の事故があった、と、ネット上でちょっと調べるだけでもいくつも見つかります。
一方のチルト液晶は、液晶を引き出したままでも移動するのに気使いが(バリアングルに比べて相対的に)少なくてすみます。
そもそも「液晶がもげて落っこちる」という状況になりにくい仕組みでもあります。横に広がるわけではありませんから
ストリートスナップというのは、瞬間のシャッターチャンスが大切なジャンルでもあります。
お!と思った時に「まず液晶を広げて、と…」とやっていたのでは話になりませんよね。
そんな時はファインダー使えばいいじゃねか、という反論もあるかと思いますが、まあやってみると分かります。
ファインダーと背面液晶ライブビューでは、撮れる写真にも良し悪し以前の段階で違いがあります。
カメラの本道を歩む「ファインダーを使う方」にとっては、そもそもこの違いなんかどうでもいいことなのだろうとは思っています。
しかし私はその意味で邪道。
日常において、たとえファインダー搭載機であっても背面液晶もフル活用して撮りますから、こだわらざるを得ません。
人それぞれですけれども。
二の足を踏む理由その2:4K動画非対応。
背面液晶の話では主観でダラダラ書いてしまいました。申し訳ございません。人それぞれなのは百も承知ですからね!
しかしこちらはより深刻です。4K動画非搭載。
何だよ俺達4Kなんか撮らねーよ関係ねーよ、と思われたあなたも、ちょっと聞いてください。
カメラって、特にデジタルにおいては「世代」というような概念があるじゃないですか。
マイクロフォーサーズ第一世代、第二世代…みたいな言い方をしますよね。
マイクロフォーサーズ、特にオリンパス機においては「OM-D以前・以後」で画質の劇的な差があります。
この分類も「世代」と呼ぶならば「OM-D以前の世代」、今更それらのカメラを積極的に手に入れる理由はありません。
他のメーカーのユーザーさんも、ご自身が愛用しておられるメーカーのカメラを振り返っていただき、世代という「くくり」を思い浮かべてください。
どのカメラが欲しい?となった時には、予算も含めてよほどの事情が無い限り「より新しい世代のカメラ」が欲しいと思うはずですがどうでしょう。
私の主観ですみません、間違っていたら指摘してください。できれば根拠付きなのが嬉しいです。
PEN-Fは「旧世代」に属するカメラ、ですよね?
もっと具体的に言うと「OM-D E-M5markIIのPENバージョン」ですよね?
センサーを刷新した、新たなエフェクトを追加した。
色々な進化はあるとは思いますが、基本的に「E-M5markII世代」のモデルであるはずです。
それが「4K動画非搭載」という点に現れている、と私は感じました。
4K動画。
編集したことがある方なら当然にご存知だと思いますが、処理がいちいち重たいですよね。
フルHDなんかお茶の子サイサイでガンガン処理していた我が家のパソコンが、4Kのファイルを扱い始めると一転して沈黙します。
極端な話、4K映像素材をサムネイル表示付きで作業ファイル上に読み込むだけでも、我が家では下手したらフリーズです。
フルHDと4Kでは、ファイルを扱う側に対して求める性能に、段違いの差があるのです。
後処理する「だけ」のパソコンですらそうなのです、撮影→圧縮→保存→書き込みという現場最前線にいるカメラ本体なら、なおのことです。
で。
件のPEN-Fは「フルHDまで、4K非対応」という仕様になりました。
正直Twitterで流れてくる情報の段階で「PEN-F」なるものが噂で出回っているらしい、ぐらいのことは察知していましたが、
私は「もし本当にそんなものが出るのならば当然4K搭載だろう」と勝手に思っていました。違ったけどね。
4Kを内部処理できるか、できないか。
ここ1年ほどのデジタル一眼カメラの「世代交代」っぷりは、そこに見ることができるのではないか、と私は思っていました。
ソニーで見てみます。
α7II三兄弟、とよく言われますが、「α7II」は旧世代、「α7RII・α7SII」は新世代、と私は思っています。
α7II。ボディ内手ぶれ補正搭載の、我が家にあるうち、現時点で私の理想形に最も近いカメラです。
しかしこちらは明らかに旧世代。4Kを処理できないのですから。(出来るなら最初から搭載してるでしょうし)
オリンパスに話を戻します。
オリンパスの「真の次世代機」の最初のモデルは、今回のPEN-Fではなく、この後に登場するであろう「OM-D E-M1markII」である。
そんな気がいたします。
すなわち私は「E-M1 markIIが出るとするならば、4K動画を搭載する」と予測している事になりますが当たるかしらん。
「世代」だけ見てカメラを買うわけでは決してありませんが、
我が家では「写真機にも動画撮影機能が欲しい」という事情があり、その上で「GX8を皮切りに4Kに移行しつつある」という現状を踏まえても、
PEN-Fに二の足を踏むのには充分すぎる理由となっています。
二の足を踏む理由その3:オリンパスのヘタレた生産管理。
もしかしたら最大の理由はこれかもしれません。
バリアングルがどうのこうのなんて、もはや我が家にはバリアングル機が複数あり「常用の既成事実化」していますし、
4K非搭載がどうのこうのなんて、ぶっちゃけ普段はまだまだフルHDでも撮っているわけですから決定的な理由ではない。
カメラの外観は私の好みだし、五軸手ぶれ補正は健在なんだからGX8との2台体制で持て余すこともないだろう。
購入動機は充分にあります。正直魅力も感じています。
が、どうしても手を出す気になれない。
PEN-Fはボディだけでもヨドバシ価格で16万円近くします。私にとってはちょっと気合を入れなければならない買い物です。
しかし、オリンパスはそういった「庶民の気持ち」を分かっていないようです。
「初期不良」や「あり得ない故障」が多すぎるのです。
我が家には6台(PENが3台・OM-Dが3台)のオリンパス機がありますが、
そのうち2台が初期不良、1台に同時購入した縦位置グリップが使用直後から不具合を起こし始めました。
欠陥率5割、イチローも真っ青のハイアベレージです。
正直ここまで「オリンパス信者」同様の振る舞いをしてきた私でも愛想が尽きるレベル
初期不良だったら取っ替えてやるよ、新品をくれてやるんだから黙って使ってろよ、オンラインショップの割引券やるからさあ。
…とか思ってるんでしょうね。さすが大企業、お偉いんですねー(棒読み
この項目を書き始めたら、また腹が立ってきました(笑
せっかく魅力的なカメラを出そうというのに、肝心の「生産体制への信頼感」がゼロなのです。これでは手を出す気になりませんね。
もういいや、これは私の主観ですから、皆様はどうぞよろしいように。
私が初期不良を食らったのは「E-M5の縦位置グリップ」「E-M1」「E-M5markII」というOM-Dシリーズ限定で、
我が家の「E-P1」「E-P3」「E-P5」と3台あるPENはすべて安心して使えています。
ですから皆さん!買うなとは言いません!買いだ、とも言いませんけどね!
これをご覧のリアルで付き合いのある皆様、お会いした時に「PEN-Fは『買い』か?」と聞かないでください。
これ以上オリンパスの悪口を言いたくない!
今回はこの辺で
正直迷っています。
私が「PEN」を嫌いなはずがない。
もし私が「PEN-F」に手を出すことがあるとしたら、どんな可能性があるか。
・初期ロットでの不具合が無いなどの理由で、ほんのわずかでもメーカーに対する信頼感を取り戻せる
・ファームアップで4K動画が搭載される(実は次世代機だった、というオチで)
・どこかで実機を目にして、実際に触れてみて、良いなと思う
それらの条件が必要だろうなあ、という気がします。
返す返すもここに書いたのは私の主観です。
同じテーマで記事があるならば、他の方は別の切り口を提示されるはずです。
ですのでこの記事はあくまで「敢えて決め打ちをした『読み物』として」ご覧いただければ幸いです(逃げ口上
次回は別のネタになります。
またぜひお立ち寄りください。よろしくお願いします。
m(_ _)m



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